てるりん昔話 
第一話
NHK沖縄放送局
ローカルニュース
毎月一回放映  
大統領直筆の放送
原稿を掲載   
used by permission
4月23日(金)午後6時ローカル・ニュースで放映


マーナー・オーラセー その1

 マーナーというのは方言で、学校ではキノ 
ボリトカゲに訂正された。キノボリトカゲと 
はいつも木に登るからそういうのだそうであ 
る。また[マースクェ−]とも呼んだ。
 ワラバー時代の楽しみは[マーナーオーラ 
セー
]である。マーナーは体は小さいが性格
は獰猛で、人間にだって刃向かってくる。
 こいつに噛みつかれたら、大変ヨ。歯が鋭 
いので、たいていの者は悲鳴をあげて転げま 
わる。
 さて、この恐ろし気なる、まるで恐竜の生 
き残りを思わせるような、奇怪な形の生き物 
が、どうして、人間の子供なんかに捕らわれ 
てペットにされてしまったのだろう。
 それは子供たちの方が、脳も大きく、ジン 
ブン
も上であったからというしかない。昔は、
あの子もこの子も、マーナーを所有し、それ 
を闘わせて遊んでいた。
 マーナーの闘いはとても激しい。闘牛士が 
勇ましい音楽(ブークヮンクヮン)で立ち現 
れるように、この小さな豆闘牛士、いや、マ 
ーナーオーラサ−たちも、マーナーを戦いの
庭に引出す時は早くも口ずさむ。

(チャンバラのリズム)
 チャンチャンチャンスチャラカチャン、 
 チューンアチャーンメーニチチューン

 かくして激しい戦いは展開されるのであり 
ました。
 その闘いは言語に絶する激しさで、これが 
人なら、ワビとかサビとか言って休戦協定す 
るところを、言葉を持たないマーナーは死ぬ 
まで戦ってしまう。
 そこで見かねて「トートー、チューヤクリ
マディ
」と、中に入ってその、すっかり消耗 
され、ぐったりとなってしまったミニ恐竜を 
助けてやるのであった。 
 ああ、そのとき我らの敗軍の将の、臣下を 
集めて言うことにゃ、サノ言うことにゃ、
「国敗れても山河は残る。さあものども、こ 
れからあの山この山を渉猟なして、代わりの 
戦力を集めて来よう」
 と打ち出るのであった。



 では、その捕獲の仕方。
 マーナー狩りは自分の腹心の部下だけを連 
れて目立たぬように行動する。大勢で行くと、
せっかくの強そうなものの棲家が敵に知れて 
しまう。
 獲り方にはコツがある。
 まず、ヤーマをつくる。ヤーマとは道具の 
ことだ。野草の芯の長いのを引き抜いて、そ 
れでもってヒッシミー・ヤーマ(竿の先端に 
輪っかを作りそれをマーナーの首に引っ掛け 
て捕獲するその仕掛け)を作って、それを操 
って獲るのである。
 勿論、このヒッシミー・ヤーマを作るとき 
はこっそりと隠れて作る。いわぱ秘密の兵器 
工場であるから。かくてマーナー捕獲作戦は 
密かに用意され展開されるのでした。
 さて、次はその獲り方。まずは、樹上のマ 
ーナー探しから。それが茂みの中に見つかる 
や、そっと近づき、その竹ざおを注意深くゆ 
っくりと突き出して、その輪っかをマーナー 
の頭上にそっと近づけ、その首根っこにゆっ 
くりと被せて、仕掛けの紐を静かに引っ張り 
その首を締めてやるのである。
 ここが一番の難しいどころだ。が、そのヒ 
ッシミーというのは、一旦、マーナーの首に 
掛かると、もう、しめたもので、いくら暴れ 
ても、もがいても、もう縫対に外れないよう 
になっているから、それほど難しくは無い。 
マーナ−がもがけぱもがくほど、暴れたら暴 
れるほどますます強く締まっていくので、も 
う、マーナー君、どうにもならない。

 パッタラケーヤー、パッタラケーヤ
 バタパタパターッ、バタパタパタン
 パタリンコン パタリンコ グタッ


「さあ、獲れたぞう。さあものども引き揚げ 
ようぜ」(来月につづく)



ワラバー:わらべ。子供。  オーラセー:牛の角突き。闘牛。  ジンブン:知恵。この語は漢字で「存分」と書く。物事を思う存分なしえる才能。
ブークヮンクヮン:音の描写。クヮンクヮンは鐘の音で「カンカン」に近い発音。
チューンアチャーンメーニチチューン:今日も明日も毎日来ゆーん。
トートー、チューヤクリマディ:では、では、今日はこれまで。
パッタラケーヤー …… グタッ :大統領よりご指示。訳の必要なし。古語の「百態」つまりある物事のさまざまな姿態、「女百態」などいうことを連想すればよろしい。


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